2026年1月5日 不動産売却
この記事は、農地を所有している、または購入を検討している個人・投資家・地主の初心者向けに書かれています。
農地を駐車場や住宅地などに土地活用する際に必要な「農地転用」の基礎知識と、4条・5条の違い、相談先の選び方、申請の流れ、必要書類、リスク管理までをわかりやすく解説します。この記事を読めば、どの部分をどの専門家に任せればよいかの目安がつきます。
※農地の売買の流れについて知りたい方は、こちらの記事「はじめての農地売却の流れ ~田んぼ・畑などを売りたいときに知っておきたいFAQ~」がおすすめです。
農地転用とは本来農作業に使われている土地(農地)を、農地以外の用途(宅地や駐車場、事務所など)に変更することをいいます。
農地転用には農地法に基づく許可や届出が必要で、目的や転用の程度、地域の区分によって適用される条項が変わります。
法律上は「地目」や「現況」「区分」によって扱いが変わるため、登記簿上の地目が畑でも現況が更地や駐車場になっている場合や、その逆の場合があり、どの時点の状況で判断するかが重要です。特に、第4条の権利移動に関する規制と第5条の許可制は混同されがちなので、目的と現地の区分を正確に把握することが重要です。
たとえば地目が「田」「畑」であっても現況が駐車場や空地であれば扱いが変わることがあります。
区分としては転用の程度や用途、周辺の土地利用計画が重要で、これらをもとに4条適用か5条適用か、あるいは許可不要かが決まります。
専門家に相談すると、これらの判断基準を現地写真や公図をもとに具体的に教えてもらえます。
まずは自分の土地がどの区分に入るかを確認する必要がありますが、判断に迷う場合は、登記事項証明書や公図、現地の利用状況を確認し、専門家に現況の判断を相談することが安全です。
農地法では用途変更に際して原則として許可または届出が必要です。
第4条は権利移動を伴わない転用で適用され、都道府県知事(指定市町村では指定市町村長)の「許可」が必要です。ただし、市街化区域内にある農地については農業委員会への届出制となっているなど、例外もあります。(農地法第4条第1項第7号)
第5条は「許可制」で、売買や賃借権設定など権利移動を伴う転用で適用されることが多く、厳格な審査基準が設けられています。(農地法第5条第1項)
土地がどの区域に属するかで転用の可否や手続きが大きく変わります。
市街化区域は一般に開発が進められる区域で転用が認められやすい傾向がありますが、用途規制や建築基準が別途適用されます。
市街化調整区域では原則として開発が抑制され、許可が下りにくいため注意が必要です。
さらに、農用地区域や農業振興地域は農地保全の観点から制約が強く、転用には高いハードルがあります。
不動産業者は土地の売買や活用プラン提案の面で頼りになりますが、許可申請の代理や書類作成を業として行う場合は行政書士法に抵触するリスクがあります。
メリットは土地の相場感や販路、周辺事情の把握、企画提案が受けられる点です。
リスクとしては専門的な許認可手続きを無資格で代行すると違法となる可能性があり、実務上は行政書士等の専門家に依頼するよう助言を受けられるかを確認してください。
| 専門家 | 主な役割 | 相談のタイミング |
|---|---|---|
| 不動産業者 | 土地の売買仲介、活用提案、周辺市場情報の提供 | 初期検討、売買検討時 |
| 行政書士 | 農地転用許可・届出の申請書作成と代理 | 手続き本格化時 |
| 司法書士 | 登記手続き・所有権移転手続き | 売買・相続・抵当設定時 |
| 土地家屋調査士 | 現地測量、図面作成、分筆・地目変更の調査 | 図面確定・境界確認が必要な時 |
行政書士は農地転用の申請書類作成、申請代理、関係機関との調整などを行います。
費用は事務所や案件の複雑さで変わりますが、目安として簡易な届出で数万円〜、5条許可のような複雑な案件で十数万円〜数十万円程度が相場です。
選び方としては農地転用の実績、農業委員会とのやりとり経験、見積りの明確さ、報酬内訳の説明を重視してください。
司法書士は所有権移転登記や抵当権設定など登記手続きの専門家であり、転用申請そのものは業務外ですが、売買や相続を伴う場合に必須になります。
土地家屋調査士は現地での測量や境界確定、分筆や地目変更に必要な図面作成を担当します。
現地調査で境界が曖昧だと申請の遅延や拒否の原因になり得るため、早めに調査士と連携するのが重要です。
行政書士以外の者が報酬を得て許認可申請を代行することは行政書士法等に抵触する恐れがあります。
安全策としては、不動産業者に相談する際に『申請は行政書士に依頼する』旨を契約書に明記してもらう、または専門家の紹介を受けることが有効です。
さらに、報酬の支払い先や実際の作業者が誰かを確認し、疑問があれば地方の行政庁や行政書士会に照会してください。
5条許可は主に権利移動を伴う転用や恒常的な用途変更で適用されます。農地の使用収益をする権利等を持っていない者が、農地を買い受け、あるいは賃借し、宅地に変えて住宅を建築しようとする場合に、農地法第5条の許可が必要となります。
一般的なフローは、事前相談→必要書類準備(図面、同意書、利用計画書等)→正式申請→現地調査・審査→許可通知という流れです。
審査では農地の保全性、代替地の確保、周辺農業への影響、区域指定との整合性などが検討され、農業委員会や都道府県知事の判断が重要となります。
4条は権利移転に関連する規定で、売買契約や賃貸借契約が関係すると適用されます。例えば、自身が所有している農地上に住宅を建築するため、農地を宅地に転用する場合です。市街化調整区域か市街化区域かどうかにより、許可制か届出制かが異なります。
一般的に必要な書類は以下の通りです。
申請先や事案によって追加書類や詳細な様式が求められるため、事前に農業委員会や専門家と確認してください。
早めに書類を揃えることで審査の遅延を避けられます。
審査でよく指摘される不備は、図面の不一致、境界不明確、同意書の不備、代替地の不十分さ、周辺影響の説明不足などです。
対策としては、事前相談を充分に行い、土地家屋調査士による正確な図面作成、関係者の同意を早期に取得、行政書士による書類チェックを行うことが有効です。
また、地域特有の規制(農用地区域や景観条例等)についても事前確認することが重要です。
駐車場や資材置場への転用は比較的需要があり、地域によっては許可が下りやすいケースもあります。
しかし、地域の用途規制や周辺住民への騒音・排水・景観影響、土壌の保全といった点が審査で問われます。
特に市街化調整区域や農用地区域では厳格な審査がなされるため、利用目的と地域規制の整合性を示す資料が必須です。
住宅や賃貸アパート用地としての転用は不動産投資として人気がありますが、開発や建築確認、上下水道の整備など別途手続きとコストが発生します。
また、用途地域や建ぺい率・容積率の制限、道路幅員要件など建築基準法の要件を満たす必要があります。
投資採算の観点から固定資産税の変化、インフラ整備費、許認可の期間を十分に見積もってください。
事務所や商業施設の開発には開発許可や建築確認、都市計画法上の調整など多くの手続きが加わります。
開発行為を伴う場合は造成計画、排水・道路計画、周辺住民への説明・合意形成が重要で、農地転用だけでなく都市計画や建築の専門家との連携が必要です。
費用・期間・近隣対応を含めた総合的なプロジェクト管理が求められます。
農業を継続しつつ一部を活用する「営農型活用」や複合利用は地域に受け入れられやすく、補助金や支援制度を利用できる可能性があります。
例えば直売所や加工場、太陽光パネル併設の営農型発電などは地方自治体の支援対象となる場合があり、転用ではなく農業関連施設として扱うことで手続きが変わることがあります。
地元の農業委員会や農政機関に相談し、補助制度や適用条例を確認してください。
専門家への依頼費用は案件の複雑さで大きく変わりますが、おおむね行政書士20万前後、司法書士は登記手続きで数万円〜数十万円、土地家屋調査士の測量は数十万が目安です。
見積りを受ける際は、着手金と成功報酬の有無、追加作業時の料金、役所手数料や測量実費が含まれているかを確認してください。
複数の事務所で相見積もりを取り、業務範囲と連絡体制を比較することを推奨します。
無許可転用や届出を怠った場合、都道府県や市町村から是正命令や罰金、最悪の場合は土地の原状回復命令が出され、当該権利設定や権利移転の契約は無効(農地法第5条第3項、第3条第7項)とされる場合があります。また、許可の取消し・条件変更・工事停止命令・原状回復命令等の行政処分を受ける可能性があります。さらに、罰則として3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される恐れがあります(農地法第64条第1号)。
違法状態が残ると将来の売却や融資、相続時に重大な障害となるため、事前手続きは必須です。発覚時の対応としては速やかに専門家に相談し、是正計画を提出するなど誠実な対応で行政との協議を進めることが重要です。
転用後は完了報告が求められるケースがあり、それによって登記の地目変更や固定資産税の更新手続きが発生します。
売買や相続で権利移転がある場合は司法書士による登記が必要で、転用手続きの履歴が登記や評価に影響します。
完了報告書や許可書を紛失しないよう保管し、移転時には専門家に必要書類を確認してもらってください。
転用が無許可だったり計画どおり進まなかった場合、資産価値の毀損や貸し手からの融資拒否、買主からの契約解除要求など大きなリスクがあります。
リスク管理としては事前調査の徹底、専門家による法令確認、保険や契約条項でのリスク分配、事前の資金余裕を確保することが有効です。
また、転用計画は複数シナリオを検討し、最悪ケースに備えた撤退計画も用意してください。
最初に相談すべき公的窓口は土地のある市区町村の農業委員会です。鳥取市の場合、鳥取市農業委員会事務局が窓口です。
農業委員会は農地の利用調整や転用許可・届出の窓口であり、地域ごとの運用実務や必要書類の案内を受けられます。
事前に公図や登記事項証明書を持参して相談すると、適用される条文や必要な手続きの方向性について具体的なアドバイスを得られます。
市区町村や農業委員会は一次相談と受理、都道府県は審査や許可権限を持つ場合があり、案件によっては都道府県知事の許可が必要になることもあります。
農林水産省は全体的な方針やガイドラインを示す役割で、個別案件の一次対応は地方自治体が担当します。
複数の管轄が絡む場合は事前にどの機関が窓口か確認し、適切な順序で相談してください。
公的窓口や自治体の無料相談は初期判断や必要手続きの把握に有用で、正式申請や書類作成は有料の専門家に依頼すると安心です。
相談準備としては、登記事項証明書、公図、現況写真、測量図(あれば)を揃えておくと効率的です。
無料相談で得た指示に基づき、有料専門家に依頼する場合は見積りと業務範囲を明確にしておくことが重要です。
相談時に確認すべきことは、該当地の区域区分、過去の許可履歴、近隣の利用状況、必要書類の具体的内容、審査の想定期間と費用です。
現地で必ず確認するポイントは境界の明瞭さ、接道状況、排水・水利の状況、隣地の利用状況、周辺インフラの有無などです。
これらをチェックリストにして相談時に提示すると、専門家の判断が速く正確になります。
不動産業者に相談すると利便性とワンストップ対応のメリットがあります。物件提案から申請の方向性、近隣対応まで一貫して支援してもらえるケースが多いです。不動産業者が料金を受け取り許可申請書類を作成し、代理で提出する行為は行政書士法に触れる可能性があります。見分け方としては、『申請代理をするか』『作成はするが提出は行政書士に依頼するか』『単なる相談・紹介にとどまるか』を明確に確認してください。契約書に業務範囲を明記し、必要な場合は行政書士の紹介を受けることで違法リスクを回避できます。
基本的には土地の所有者または正当な権利を有する者が申請者になります。
共有名義や借地、地上権など権利関係が複雑な場合は全ての権利者の同意や証明書類が必要になることが多く、早めに権利関係を整理することが重要です。
隣地や関係者の同意を得る際は書面で取得し、同意書の形式や証人の要否も専門家に確認してください。
許可までの期間は事案により様々ですが、簡易な届出で数週間、5条許可など複雑な案件で数ヶ月〜半年程度かかることがあります。
審査を早めるには事前相談で不備を潰し、正確な図面や同意書を予め準備し、必要な補足説明を申請書に添付することが有効です。
また、地元行政とのコミュニケーションを密にし、問い合わせには迅速に対応することが審査短縮につながります。
転用の有無や手続き状況は売却価格や買主の融資可否に影響します。
売却前に転用許可を得ておくか、許可条件を契約書に明記するかで取引の安全性が変わるため、司法書士や不動産業者と相談して登記や契約条項を整備してください。
相続時は転用手続きの履歴が相続財産評価に影響することがあるため、遺産分割や税務面も考慮する必要があります。
一般的な目安として、6条届出や簡易な相談は農業委員会と行政書士の相談で対応可能です。
5条許可や権利移動が伴う大規模案件は行政書士を中心に土地家屋調査士、司法書士、不動産業者をチームで起用するのが安心です。
開発行為を伴う場合はさらに建築士や都市計画の専門家の参画が必須となります。専門家に依頼する場合、費用が発生します。依頼する前に、費用について確認をした上で、専門家に依頼するようにしましょう。
一般的な目安として、市街化区域での届出であれば不動産会社と行政書士の連携で十分なことが多いです。
5条の許可や代替地措置が必要な大規模案件、あるいは開発行為を伴う案件では行政書士、土地家屋調査士、司法書士、場合によっては建築士や弁護士を含めたチーム体制が望まれます。
不動産会社に相談すれば、どの部分についてどの専門家に相談すればよいかの具体的なアドバイスを受けられます。
| 専門家 | 主な業務 | 費用目安 | 相談タイミング |
|---|---|---|---|
| 不動産業者 | 物件提案・市場調査・売買仲介 | 仲介手数料等 | 案件検討・用途相談時 |
| 行政書士 | 許可申請・届出書作成・行政交渉 | 数万円〜数十万円 | 申請準備段階 |
| 司法書士 | 登記手続・権利関係整理 | 数万円〜十数万円 | 売買・相続・登記段階 |
| 土地家屋調査士 | 測量・図面作成・境界確認 | 十万円前後〜 | 図面作成・申請添付資料準備 |
※案件の状況や複雑さによっては必要な費用は異なるため、事前に見積書を取得するようにしましょう。
農地転用について深掘りしたい方は自治体や農政局のガイドライン、農林水産省の解説資料、農地転用に関する専門書や行政書士作成の実務書が参考になります。
具体的な事例集や許可申請の書式例を掲載した資料は実務でとても役立ちます。
まずは自治体のホームページや農業委員会の窓口で配布される手引きを確認し、疑問点は専門家に問い合わせると良いでしょう。
農地転用は区域区分や用途、権利関係によって、具体的な手続きや必要な専門家が変わります。
まずは農業委員会や自治体の無料窓口で事前確認を行い、そのうえで不動産会社に相談して計画を練ると効率的です。実務的な申請や届出は行政書士、登記は司法書士、測量・図面は土地家屋調査士に依頼するのが安心です。
しかし、農地転用の手続きははじめての方には複雑な手続きです。どの専門家に相談すべきか分からないようなケースは、不動産会社に相談してみると、どの相談先に相談すべきかを教えてもらえるので、安心です。
早めの専門家連携と十分な準備で許可取得の成功率を高めましょう。
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